先日のライブで『静けさ(無音)も大切な音の一部』だということを意識して演奏しました。
無音を意識し、音と音の隙間や、音が鳴り終わったあとの余韻をしっかり感じることで、『静けさ(無音)があるからこそ、音が際立つんだ』という、当たり前過ぎて忘れてしまっている感覚を思い出すことができました。
無音を意識しなければ、音を出している時だけが演奏している時間だと疑いもなく思い続けていたでしょう。
そんなことを考えていたら『ジョン・ケージ(John Cage)』の『4分33秒』を思い出しました。
そこで、この件を忘れないように、忘備録として『ジョン・ケージ(John Cage)』の『4分33秒』について簡単にまとめておきたいと思います。
ジョン・ケージ(John Cage)『4分33秒』
『4分33秒』は、アメリカの作曲家ジョン・ケージによって1952年に作曲された楽曲。
この作品はケージの作品の中でも最も有名な曲と言っても過言ではなく、彼の音楽に対する思想を最も簡潔に表現したものとも言われています。
演奏時間はタイトル通り4分33秒で、演奏者はこの間、一切の音を出さず、聴衆はその場で起こる偶発的な音、例えば、会場の外気の音、聴衆自身が立てる音、すべてを音(音楽)として聴きます。
この作品では、沈黙とは無音ではなく「意図しない音が起きている状態」を指し、楽音と非楽音の区別をなくすことで、あらゆる音を音楽として捉えることを促しています。
ケージは1940年代から沈黙について考えており、無響室での体験や絵画作品からインスピレーションを受けてこの作品を作曲したそうです。
初演は1952年8月29日にニューヨーク州ウッドストックで行われ、ピアニストのデイヴィッド・チューダーによって演奏されました。
この演奏では、ピアノの鍵盤の蓋を開閉することで楽章の開始と終了を示しました。初演時、聴衆の反応は賛否両論でしたが、この作品は音楽に対する新たな認識を提起し、今も私たちに多大な影響を与えています。
今回僕がライブで無音を意識したのと『4分33秒』の無音とでは、根本的な考えは違うかもしれませんが、ふと『4分33秒』のことが頭をよぎったのでまとめてみました。